【12月5日 AFP】11月25日に90歳で死去したキューバのフィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長の遺灰が4日、キューバ革命発祥の地とされる東部サンティアゴデクーバ(Santiago de Cuba)の墓地に埋葬された。

 カストロ前議長の死去後、キューバは国を挙げて喪に服した。遺灰は、道路にあふれた群衆から「私はフィデル!」との唱和でたたえられながら国内各地を巡回した後、サンティアゴデクーバに送られた。

 同地にあるサンタ・イフィヘニア(Santa Ifigenia)墓地で、カストロ前議長の実弟ラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長が、19世紀のキューバ独立運動を率いた国民的英雄ホセ・マルティ(Jose Marti)や前議長の革命運動の同志らが眠る霊廟(れいびょう)にある大きな丸い一枚岩の中に、遺灰を納めたシダー製の木箱を安置した。

 岩のくぼみには、「フィデル」とだけ記された簡素な深緑の大理石の銘板が置かれた。

 1時間の埋葬式典後、AFPの取材に応じたフランスのセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)エコロジー・持続可能開発・エネルギー相は「演説もなく、非常に簡素だった。埋葬された遺灰のほか、遺族やキューバ政府関係者、当局者の姿しかなかった」と語った。

 カストロ前議長は無料の医療と教育を全国に広めたことで支持者らから崇敬された半面、反体制派からは残忍な独裁者だとして中傷された。

 3日夜、サンティアゴデクーバの革命広場(Revolution Plaza)で行われた最後の追悼集会でラウル氏は「フィデルの遺灰を前に、われわれは祖国と社会主義を守ることを誓う」と表明した。

 遺灰の埋葬により、9日間にわたった服喪期間は終わりを告げた。(c)AFP/Katell ABIVEN