【12月4日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は2日、中国企業グランド・チップ・インベストメント(Grand Chip Investment)によるドイツの半導体製造装置メーカー、アイクストロン(Aixtron)の米子会社買収を禁止した。中国政府の支援を受けているグランド・チップ・インベストメントは独アイクストロンの買収を希望しているが、これを阻止する動きだ。

 米財務省は、オバマ大統領が率いる対米外国投資委員会(CFIUS)の審査で、軍事利用される可能性がある技術がアイクストロンの買収により中国の手に渡ると危険が大きすぎると判断されたと発表した。

 米財務省の声明は「CFIUSとオバマ大統領は(中国企業によるアイクストロンの)買収は、緩和措置を取っても解決不可能な危険を米国の国家安全保障に与える可能性があると判断した」としている。

 声明は、アイクストロンが得意とするLED照明やレーザー、太陽電池等に利用される先進的な化合物半導体の製造技術は軍事利用も可能であり、これらの技術がグランド・チップ・インベストメントに渡ることを米政府は望んでいないとしている。米財務省によるとアイクストロンの米子会社は半導体製造技術で重要な役割を果たしているという。

 ドイツ政府は当初、グランド・チップ・インベストメントが6億7000万ユーロ(約810億円)でアイクストロンを買収することを承認していたが、米国政府が安全保障上の懸念を表明したことを受けて今年10月下旬に承認を撤回していた。

 独経済紙ハンデルスブラット(Handelsblatt)は独情報機関関係者の話として、米国は中国がアイクストロンの技術を核兵器開発に利用するのではないかと危惧していると報じた。

 米国政府から情報を受け取った後、独経済協力開発省は10月24日、同買収案件を再審査すると発表していた。

 米財務省によると、グランド・チップ・インベストメントはアイクストロン買収のためだけにドイツで設立された企業で、究極的には中国政府に関連した人物を含む中国の投資家が所有している。(c)AFP/Paul HANDLEY