【12月3日 AFP】4年前にパキスタン・カラチ(Karachi)の衣料品工場に放火し、255人が死亡した火災を起こした疑いがもたれているパキスタン人の男が2日夜、タイの首都バンコク(Bangkok)で逮捕された。タイ警察が3日、明らかにした。

 タイの国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)幹部によると、アブドル・レーマン(Abdul Rehman)容疑者(46)はバンコクの歓楽街ナナプラザ(Nana Plaza)のホテルで身柄を拘束された。

 タイ警察の幹部によると、パキスタン当局の要請を受け、タイのICPOがレーマン容疑者を追っていた。パキスタン側の準備が整い次第、レーマン容疑者を送還するという。

 レーマン容疑者はカラチの衣料品工場の所有者に金銭を要求していた犯罪組織の一員だと疑われている。この犯罪組織は、工場の所有者が700万バーツ(約2200万円)の支払いを拒むと、工場を焼き払った。

 2012年9月にアリ・エンタープライズ(Ali Enterprises)の衣料品工場で起きたこの火災は、パキスタン史上最悪級の産業災害とされている。火災の原因は当初、失火とみられていた。

 工場の所有者らが殺人の容疑で捜査されたが起訴はされなかった。パキスタン警察は今年、火災の背後には恐喝を行う犯罪組織がいると考え、放火の容疑者としてレーマン容疑者の行方を追っていた。

 アリ・エンタープライズの衣料品工場は、生産した製品のほとんどをドイツの衣料品会社KiKに納入していた。KiKは火災の犠牲者遺族に補償金として200万ドル(約2億3000万円)近くを支払っている。(c)AFP