【12月3日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)で総合優勝を果たしたニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)が2日、所属チームのメルセデスAMG(Mercedes AMG)にタイトルをもたらしたわずか5日後、現役引退を発表し、F1界に衝撃が走った。

 チームメートのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)を退けて王者になった31歳のドイツ人ドライバーは、オーストリア・ウィーン(Vienna)で開催される国際自動車連盟(FIA)の表彰式に先立ち会見し、1993年のアラン・プロスト(Alain Prost)氏以来となる現役王者のF1引退という衝撃的な決断を明かした。

 先月27日に行われた今季最終戦のアブダビGP(Abu Dhabi Grand Prix 2016)でハミルトンに次ぐ2位でフィニッシュして王者になったロズベルグは、その直後に引退を決意したという。

「ここでF1のキャリアを終えることに決めた。月曜日(11月28日)のことだ」

「少し時間をとって考えたが、僕はやり切った、物語は終わったという結論に達した。次のステップは父親になること、夫になることで、僕はそれをとても楽しみにしているんだ」

 34年前にF1を制した自身の父ケケ・ロズベルグ(Keke Rosberg)氏の足跡をたどったロズベルグは、6歳でレースを始め、1997年にライバルとして初めてハミルトンに出会い、そして2000年にチームメートとなった。

 2003年にドイツのフォーミュラBMW(Formula BMW)に参戦してタイトルを獲得したロズベルグは、F3ユーロシリーズ(Formula 3 Euro Series)、2005年に初代王者に輝いたGP2を経て、ウィリアムズ(Williams)でF1デビューを飾った。

 なお、ウィリアムズに加入する前にロズベルグは、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の航空宇宙工学科に合格しながらも進学せず、F1ドライバーになる道を選んだ。

 2008年のオーストラリアGP(Australian Grand Prix)で初めてトップ3フィニッシュを果たしたロズベルグは、前年にマクラーレンでデビューし、このレースを制したハミルトンと表彰台で喜びを分かち合った。

 2010年に前年コンストラクターズタイトルを獲得したブラウンGP(Brawn GP)を買収して生まれ変わったメルセデスに加入したロズベルグは、現役復帰したミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏のチームメートとして安定した成績を残し、2013年からはハミルトンとしのぎを削ることとなった。

 両ドライバーの活躍でメルセデスは黄金期を築いたが、総合優勝は2014年、2015年とハミルトンが獲得し、ロズベルグはようやく今年初タイトルを手にした。

 ロズベルグは、F1通算23勝を挙げ、ポールポジションを30回獲得している。(c)AFP