【12月1日 AFP】国連(UN)のスティーブン・オブライアン(Stephen O'Brien)緊急援助調整官(人道問題担当国連事務次長)は11月30日、シリア政府軍が攻勢を強めるアレッポ(Aleppo)について「巨大な墓場」と化す恐れがあると警告した。反体制派との戦闘が激化するなか、アレッポ東部の反体制派支配地域からは5万人余りの人が退避したと報告されている。

 ここ数日、シリア政府軍はアレッポ市全域の奪還に向けて猛攻を加えており、報道によると、反体制派が支配する地域への爆撃で少なくとも市民26人が死亡した。

 オブライアン氏は米ニューヨーク(New York)で開催された国連安全保障理事会(UN Security Council)の緊急会合に英ロンドン(London)からビデオシステムで参加し、戦闘の停止のため行動するよう訴えた。

「人道のために、(戦闘の)当事者と影響力を持つ関係者に呼び掛ける。アレッポが一つの巨大な墓場と化してしまう前に、市民を守りアレッポ東部の包囲下にある地域にアクセスできるよう全力を尽くしてほしい」

 緊急会合が開かれる中、シリアの反体制派は国連に市民を保護する措置を直ちに講じるよう求めている。

 一方、在英のNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は同日、アレッポ東部から5万人が逃れ、少なくとも2万人が政府側の支配地域、3万人がクルド人勢力の支配地域に退避したと報告。さらに多くの人が、反体制派がなお支配する南側の地域へ移動したという。(c)AFP/Karam al-Masri with Sara Hussein in Beirut