【12月1日 AFP】米中西部オハイオ(Ohio)州コロンバス(Columbus)のオハイオ州立大学(Ohio State University)で、男が車と刃物で歩行者らを襲い11人が負傷した事件で、ジェイ・ジョンソン(Jeh Johnson)国土安全保障長官は30日、射殺された容疑者のソマリア人学生にはテロ組織との直接のつながりはなかったと発表した。

 だが事件を捜査している連邦捜査局(FBI)は同日の記者会見で、容疑者はイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」や、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の幹部アンワル・アウラキ(Anwar al-Awlaki)師に触発されていた可能性があるとの見解を明らかにしている。

 28日に起きた同事件では、ソマリア移民でオハイオ州立大学に転入したばかりだったアブドル・ラザク・アリ・アータン(Abdul Razak Ali Artan)容疑者が歩行者らに車で突っ込んだ上、刃物で襲い掛かり、現場に急行した同大学駐在の警察官により射殺された。

 当局は今のところ事件をテロと断定はしていないが、アータン容疑者が事件前に自身のフェイスブック(Facebook)ページでイスラム過激派への支持を表明していたことが分かっている他、IS系通信社が29日、同容疑者をISの「兵士」だとする犯行声明を出していた。

 だがジョンソン長官は、同容疑者がこうした組織と直接連絡を取り合っていた証拠は見つかっていないと説明。「自ら過激思想に染まった人物による犯行であったことが示唆されている」と述べている。

 アータン容疑者のものと思われるフェイスブックのページは現在閲覧不能になっているが、米メディアが保存していたコピーによると、米国への怒りを示す次のような文章が投稿されていた。

「もう我慢できない。アメリカよ! 他の国々、特にイスラム国家への介入をやめろ(…)私たちイスラム教徒に一匹狼型の攻撃をやめさせたいなら、和解しろ(…)イスラム教徒に平和を与えない限り、私たちはお前たちを安眠させない」

 アータン容疑者は投稿の中でさらに、アウラキ容疑者を「英雄」と呼んでいた。米国生まれのアラウキ容疑者はアルカイダのメンバー勧誘を担当していたが、イエメンで米軍が実施した無人機攻撃によって死亡している。(c)AFP