【11月30日 AFP】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は29日、2011年に行われた第13回世界陸上大邱大会(13th IAAF World Championships in Athletics Daegu)で女子七種競技を制したタチアナ・チェルノワ(Tatyana Chernova、ロシア)に対して、ドーピング違反による資格停止処分を科し、同大会で獲得した金メダルを剥奪した。

 28歳のチェルノワには3年8か月の資格停止処分が科され、2011年の世界陸上から2年間にわたる記録がすべて抹消された。そして2012年のロンドン五輪で七種競技の金メダルに輝き、リオデジャネイロ五輪でも銀メダルを獲得したジェシカ・エニス・ヒル(Jessica Ennis Hill、英国)が繰り上げで自身3度目の世界タイトルを獲得する見通しとなった。

 2009年に開催された世界陸上でチェルノワから採取されたサンプルを再検査した結果、禁止薬物に指定されているアナボリック・ステロイド(anabolic steroid)が検出されたことで、エニス・ヒルは以前から2011年大会のタイトルは自身のものだと主張していた。

 CASの声明を受け、2009年と2015年の世界選手権を制したエニス・ヒルは、大邱大会で自身とチェルノワが一緒に写っている画像をインスタグラム(Instagram)に投稿し、「この写真は永遠に私の心に焼きついています。それ(世界陸上での銀メダル)がロンドン(London)で迎えた私自身初の五輪で成功を収める原動力になっていたとしても、心の中では間違っていると分かっていた」とつづっている。

 チェルノワはまた、ロンドン五輪の銅メダルも剥奪されている。(c)AFP