【11月29日 AFP】欧州連合(EU)と世界保健機関(WHO)は29日、欧州におけるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者のおよそ7人に1人が、自分の感染に気付いていないとする報告を発表した。

 12月1日の「世界エイズデー(World AIDS Day)」を前に、ビテニス・アンドリュウカイティス(Vytenis Andriukaitis)EU保健・食品安全担当委員は、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が示したこの数字について「HIV感染を自覚していない患者は救命治療の恩恵を受けられず、また他人への感染を止めることができない」と憂慮を示した。

 ECDCの統計はEU加盟28か国に、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを加えたデータに基づいている。ECDCによるとこれらの国々で確認されたHIV感染者の約半分にあたる47%が、感染後期になって診断されている。これは感染から診断・報告までに平均約4年かかっている計算になるという。

 HIVの感染経路として最も多いのは男性同士の性交渉で全体の42%にあたり、感染経路として長年、唯一増加傾向にある。次いで異性間の性交渉による感染が32%、麻薬使用による感染が4%と続いている。

 WHOによると2015年に欧州内で報告されたHIV感染者数は、過去最高だった前年の14万2000人を更新し、15万3407人に上った。(c)AFP