■多くの送粉者が絶滅の危機に

 送粉者の大半はハナバチ、チョウ、ガ、カリバチ、甲虫などの昆虫だが、鳥、コウモリ、トカゲなどの脊椎動物や風などが受粉を媒介する場合もある。

 鳥やコウモリなどが大半を占める脊椎動物の送粉者の5分の1近くが、絶滅の危機に直面している。また、送粉者の中で圧倒的多数を占めるハナバチの約9%が絶滅危惧種に分類されているほか、ほぼ同じ割合のチョウも絶滅に直面している。

 ハナバチの個体数は、欧州や北米などの地域で発生している「蜂群崩壊症候群」と呼ばれる謎の現象による打撃を受けている。その原因としてダニ、ウイルス、菌類、殺虫剤、あるいはそれらの複合的な要因などが指摘されている。

 今回の論文の執筆者らは、農業に伴う最悪の副作用から送粉者を守るための措置を講じるよう呼びかけている。

 この保護措置としては、農薬の代わりに自然の害虫捕食動物を用いる、作物の間に花を帯状に植える、輪作の作物に顕花植物(花をつける植物)を加える、送粉者の個体群を生息させるための野花の生育地を回復させる、などが考えられる。

 送電線や鉄道の土手、高速道路などの人工インフラを改造して送粉者のための花や巣作りの場所にすることも可能だと、研究チームは論文に記している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux