【11月29日 AFP】16F1第21戦アブダビGP(Abu Dhabi Grand Prix 2016)でメルセデスAMG(Mercedes AMG)のニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)が自身初の総合優勝を果たした祝福ムードは、チームメートのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)との間に繰り広げられた「無秩序」の影に覆われている。

 一部の報道では、27日に行われた同GP決勝で、宿敵のロズベルグがオーバーテークされてタイトル獲得を危うくさせるためにスローダウンしたハミルトンに対し、メルセデスが処分を下す可能性があると伝えられている。

 ロズベルグがフェラーリ(Ferrari)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)から激しい追い上げを受ける中、ハミルトンはチームからスピードを上げるよう2度指示されながらも無視していた。

 メルセデスのチーム責任者を務めるトト・ヴォルフ(Toto Wolff)氏は、「とても単純な話だ。無秩序はどのチームや会社でも成り立たない。前例がつくられてしまった。公の場で組織に反発するというのは、チームよりも自己を優先しているということだ」と語った。

 今後、総合的に状況を調査するというヴォルフ氏は、「来季は彼らにもっと自由を与えるかもしれないし、価値観が尊重されていないと感じた場合は、もっと厳しい態度を示すかもしれない。私が示す方向性や、今後の方針は決まっていない」として、あらゆる可能性が残されていると述べた。

 一方、ハミルトンはメルセデスに対し、単純にドライバーとしてチームメートとの競争に徹せられるべきだと訴えており、「自分は何か危険なことや、不正をしたとは思っていない。僕たちは王座を争っていた。レースは僕がリードしていたから、ペースをコントロールしたんだ」と強調した。

 また、ハミルトンはインスタグラム(Instagram)で、アブダビでの自身のパフォーマンスをはじめ、好成績を収めてきたこれまでのレースを「誇り」に思っているとの声明を発表。さらに、「今年の状況は自分にとって有利ではなかったけれど、全力を尽くしたし、シーズンの終わり方には満足している。来年はもっと強くなり、これまで以上に速くなってみせる」というメッセージを投稿している。

 大幅なルール変更や進化したマシンの開発が予想される来季のF1では、ハミルトンの言動やロズベルグとの将来の関係が、新たな試練の一つになるだろう。(c)AFP