【11月29日 AFP】英ロンドン(London)北部カムデン(Camden)特別区で、レストランの料理宅配サービス「デリバルー(Deliveroo)」の配達員として働くビリー・シャノン(Billy Shannon)さん(18)にとって、お昼時はまさに時間との闘いだ。

 秋の肌寒さをしのぐため保温性の高い服を着込み、配達依頼が入ると自転車にまたがる。給料は時給制ではなく歩合制だ。このことは常に頭の片隅にある。

 デリバルーは、登録済みの飲食店から注文を受けた料理を依頼者に配達するサービスだ。

 AFPの取材に応じたシャノンさんは、「昨日は6時間働いたが、配達は6件のみ。時給に換算するとたった3.75ポンド(約520円)だ」と語った。

 この金額は、同年代の最低賃金である時給5.55ポンド(約770円)を大幅に下回る。こうしたことを背景に、シャノンさんも、デリバルーを相手取った組合承認の法的な申し立てへの参加を決めた。申し立ては28日、配達員らを支援するグレートブリテン独立労働組合(IWGB)が中央仲裁委員会(Central Arbitration CommitteeCAC)に行った。

「(デリバルーの)従業員として認めてほしい。そうすれば私たちは、国の最低賃金の適用や差別に対する保護、有給休暇といった権利を獲得することができる」と、シャノンさんは述べた。

 ロンドン周辺で働くデリバルーの配達員の大半は、時給7ポンド(約970円)で働き、配達1件ごとに1ポンド(約140円)が追加で支払われる。しかし、試験プログラムが導入されているカムデンでは、時給制が廃止され、配達1件ごとに3.75ポンドが支払われる仕組みが取られている。

「配達をしない限り収入を得ることができない。私がカムデンで、仕事の一環として雨の中で待機し、アプリを通じて配達依頼が来るのを待っていることをデリバルーは仕事として考慮してくれない」と、シャノンさんは言う。