【11月28日 AFP】オーストラリア政府は28日、海外で働きながら休暇を過ごすワーキングホリデー制度を利用して訪れる外国人らを対象にした「バックパッカー税」について、所得に対する課税率を15%とすることを決めた。同日中にも議会に法案を提出する。政府は当初、より高い税率を計画していたが、農家や観光業界などの反発を受けて引き下げに応じた。

 豪政府は2015年度予算案で、ワーホリ利用者を含む季節労働者に対して、2017年1月1日から国内での就労による収入に32.5%課税する計画を示した。だが農家側は、導入すれば収穫期の労働者供給に悪影響を及ぼしかねないと激しく抗議。観光業者などからも訪問先にオーストラリアを選ぶ人が減ると懸念する声が相次いだ。

 オーストラリアには毎年バックパッカーが約60万人訪れ、その多くが果物の収穫で稼いでいる。現在、ワーホリ利用者は他の労働者と同様に年1万8200豪ドル(約152万円)までの所得には課税されない。

 反発を受けて政府は今年9月、課税率を19%に引き下げる方針を発表したが、野党の労働党(ALP)や緑の党(Australian Greens)、無所属の上院議員らはニュージーランドと同じ10.5%への軽減を要求。打開策が見いだせない状況となっていた。

 スコット・モリソン(Scott Morrison)財務相はこの日、税率を15%とすることで、上院で法案成立の鍵を握る主要な無所属議員との妥協が成立したと発表。28日に法案を議会に提出するとの見通しも示した。(c)AFP