【11月26日 AFP】国際陸上競技連盟(IAAF)の元会長であるラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)氏の息子パパ・マッサタ・ディアック(Papa Massata Diack)氏が、ドーピング違反の事実を「完全保護」する見返りに、数百万ユーロもの金銭を受け取っていたことが25日、新たな調査により発覚した。

 独公共放送ARDと仏紙ルモンド(Le Monde)の報道によれば、フランス当局から指名手配中で母国セネガルに潜んでいるパパ・マッサタ氏を含むIAAFの高官に対し、陸上選手6人からそれぞれ30万~70万ユーロ(約3600万円~8400万円)が支払われたという。ディアック元会長は、2015年8月にIAAFの会長職を退いた後に起訴され、現在はフランスで自宅監禁されている。

 ARDは、「国際陸連による組織的なドーピング隠蔽(いんぺい)疑惑は、前代未聞の規模に及んでいた。そして今回も、監視の目が注がれている一つの国家の選手ばかりだった。それはロシアだ」と伝えた。

 ディアック親子の汚職疑惑を捜査している仏財政金融検察局のファイルを情報源とする今回の報道によれば、ドーピング検査の結果をもみ消しすために金銭を支払った疑いが持たれているロシア選手は少なくとも6人で、女子マラソンのリリア・ショブホワ(Liliya Shobukhova)をはじめ、男子競歩のワレリー・ボルチン(Valeriy Borchin)やウラジーミル・カナイキン(Vladimir Kanaikin)、セルゲイ・キルジャプキン(Sergey Kirdyapkin)、女子競歩のオリガ・カニスキナ(Olga Kaniskina)、そして女子3000メートル障害のユリア・ザリポワ(Yuliya Zaripova)の名前が挙げられている。

 報道ではまた、当時ロシア陸連(ARAF)の会長を務めていたワレンティン・バラフニチェフ(Valentin Balakhnichev)氏についても、IAAFが約束の訴追免除を申し出ない場合は、ドーピングに関する取引を公表すると脅していた事実が伝えられている。(c)AFP