【11月25日 AFP】イタリアで、北アフリカからの移民船に一人で乗っているところを救助された4歳女児の身元が奇跡的な偶然によって判明し、アフリカに残っていた母親との再会がかなう運びとなった。

 この女児は、西アフリカ・コートジボワール出身のウモー(Oumoh)ちゃん。危険な船旅の途中で救助され、同乗していた15人の移民たちと共に11月5日、アフリカ大陸に最も近いイタリアの島、ランペドゥーサ(Lampedusa)島に到着した。

 しかし、ランペドゥーサ島のあるシチリア(Sicily)州に漂着した未成年の移民たちの世話を担当する伊警察のマリア・ボルペ(Maria Volpe)警部によると、移民船の同乗者たちは主に女性と子どもだったが、誰もウモーちゃんのことは知らないようだったという。

「マンマ・マリア(Mamma Maria、マリア母さん)」の名で呼ばれているボルペ警部は、ランペドゥーサ島を訪れてウモーちゃんを保護し、11月9日にシチリア島北部パレルモ(Palermo)の児童施設に預けた。

 そこへ先週、運命の女神が、リビア沖で別の移民船から救助された8歳女児の姿で現れた。この女児は、母親とまだ赤ん坊の弟とともにランペドゥーサ島に着き、島の移民受付所で母親が警察官との話に集中できるよう、この警察官から携帯電話に保存してあった写真を見せられていた際、突然「この子、ウモーだ! ウモーだよ!」と叫んだのだ。

 女児は北アフリカ・チュニジアの首都チュニス(Tunis)の移民受付所でウモーちゃんと会っていた。さらに幸運なことに、この女児の母親はウモーちゃんの母親の電話番号を知っていた。

 ボルペ警部から電話連絡を受けたウモーちゃんの母親は、涙ながらに娘と離れ離れになった経緯を語ったという。それによると、父親の親族がウモーちゃんに女子割礼(女性器切除、FGM)を受けさせようとしたため、母親はウモーちゃんを連れてコートジボワールを脱出。チュニスに着いた後、友人女性にウモーちゃんを預け、自分は所持品を取りにいったんコートジボワールに戻った。

 ところが、母親がコートジボワールで思ったよりも長く足止めされているうちに、友人女性はイタリアを目指す移民船に乗る機会を得たため、ウモーちゃんを連れて乗船。しかし、この友人女性はイタリア到着時にはウモーちゃんから距離を取り、知らないふりをしていたという。(c)AFP