【12月8日 AFP】韓国の首都ソウル(Seoul)にある博物館の女子トイレの個室に入ったパク・グァンミさん(49)は、手に持った探知機を便器やペーパーホルダー、ドアノブ、そして天井の換気口にまでかざして、カメラが仕掛けられていないか調べた。

「女性が用を足すところを隠し撮りするカメラがないか、確認するのが私の仕事です」と、パクさんは博物館のトイレの数十の個室を調べた後に語り、さらに、「そんなものを見たい人がいるなんて気持ち悪い。でも女性が安心できるように、こうした確認は必要なんです」と話した。

 パクさんはソウル市の、メンバー全員が女性で構成された「隠しカメラ捜索」隊の一人として、「隠しカメラ」ポルノとの闘いの最前線に立っている。

 韓国は超高速ブロードバンドや最新鋭のスマートフォンなどのテクノロジーに力を入れている。人口約5000万人の約90%がスマートフォンを所有しており、その普及率は世界一。

 一方で、いまだに男性優位が根強く女性の権利向上が進んでいない同国では、テクノロジーを利用してのぞきをする男性たちが出てきてしまった。

 彼らの多くは、地下鉄のエスカレーターなどで女性のスカートの中を盗撮するのに特殊なスマートフォンアプリを使ったり、試着室やトイレを盗撮するのに隠しカメラを使ったりしてる。

 撮影された画像や映像は、インターネット上にあふれる専門のサイトで共有されることが多い。

 警察当局のデータよると、盗撮犯罪の件数は2010年は約1100件だったのが、2014年には6倍の約6600件に増加している。

 隠しカメラ捜索隊は、もとはすりなどの地下鉄での犯罪を取り締まるために1987年に結成されたが、現在は主に盗撮などの性的嫌がらせの対策を行っている。

 彼女たちが捕まえた男性の大半は20~30代で、大卒やホワイトカラー層も多い。盗撮で有罪となった場合、最高1000万ウォン(約98万円)の罰金または最長5年の禁錮刑が科される可能性がある。

 取り締まり強化のため、警察は盗撮犯罪を通報した人に報奨金を出し、また、ソウル市議会はパクさんのように隠しカメラを捜す女性を数十人雇用するなどしている。(c)AFP/Jung Ha-Won