【11月23日 AFP】国家ぐるみのドーピングが指摘されたロシアで22日、選手に不正を強要したコーチやドーピングに関与した各スポーツ団体の職員らに刑事責任を科す「反ドーピング法」に、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が署名を行った。

 国家ぐるみのドーピングが明らかになり、リオデジャネイロ五輪で陸上のほぼ全選手、パラリンピックで全選手団が大会から締め出されたロシアは、地に落ちたイメージの回復に力を注いでおり、今回の法律が施行される運びとなった。法案は先日すでに下院と上院を通過しており、大統領の署名待ちの状態となっていた。

 この法律の下では、関係者が部下にドーピングの実施を強要したり、暴力を振るったりした場合、あるいは薬物を摂取するよう選手を脅迫した場合は、1年間の禁錮刑に処される。今回の法律では、薬物違反を犯した選手については言及がないが、議会によれば、別の法案の提出が検討されているという。

 ロシアについては、世界反ドーピング機関(WADA)の認可の下、リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏が中心となって調査が行われ、リオ五輪開幕直前に公表された報告書の中で国家主導の薬物違反が暴露された。

 ロシア当局はそうしたプログラムの存在を否定する一方で、違反の厳罰化は約束。WADAのロブ・ケーラー(Rob Koehler)氏は21日、同国の改革は「正しい道を歩んでいる」と評価し、ロシア・オリンピック委員会(ROC)のアレクサンドル・ジューコフ(Alexander Zhukov)氏も、浄化の完了とロシア選手のすべての国際大会への復帰をアピールしていた。

 こうしたなかで、12月9日にはマクラーレン氏の報告書の第2回分が公表されるとみられている。(c)AFP