【11月22日 AFP】国連(UN)のスティーブン・オブライアン(Stephen O'Brien)緊急援助調整官(人道問題担当国連事務次長)は21日、内戦状態が続くシリアで包囲下で生活する市民がこの半年間で急増し、100万人近くに達していると発表した。

 オブライアン氏は国連安全保障理事会(UN Security Council)で、シリア国内の包囲された地域で暮らす市民は、6か月前の48万6700人から97万4080人に劇的に増加していることを報告。

「市民は服従もしくは脱出を余儀なくされ、孤立し、飢え、爆撃を受け、治療や人道的支援を受けることができない状態に置かれている」と述べた。

 国連は、包囲下にある地域として、新たに首都ダマスカス(Damascus)近郊の東グータ(Eastern Ghouta)地区の一部を加えた。

 オブライアン氏は、包囲は「残虐な策略」だと非難する一方で、行っているのは主にシリア政府軍だと指摘。包囲攻撃を停止するよう改めて要請した。

 シリア政府軍とロシア軍は、反体制派が掌握するアレッポ(Aleppo)をはじめとする国内北部で空爆を実施しており、それらの地域では食料供給が途絶えている。安保理の会合はシリアにおけるこうした危機的な状態を話し合うために開かれた。

 フランスのフランソワ・デラットル(Francois Delattre)国連大使は、「状況はぞっとするほど悲惨だ」と述べ、シリア政府が「犠牲を問わず、アレッポを奪還するためにルールを度外視した戦略」を実行していると非難した。(c)AFP