【11月22日 AFP】太平洋の島国フィジーで、植物の種を植えて施肥をする、いわば「ミニチュア農場主」のようなアリが発見された。研究論文が21日、発表された。アリが「育てる」植物は6種類以上に上るとみられるという。

 英科学誌「ネイチャー・プランツ(Nature Plants)」に論文を発表した独ミュンヘン大学(University of Munich)の研究チームによると、アリが食用の菌類を育てることはこれまでの研究で観察されていたが、植物を栽培することを示したのは、今回の研究が初めてだという。

「Philidris nagasau」という学名で知られるこのアリは、アカネ科スクアメラリア(Squamellaria)属の植物6種類の種を採集し、木の割れ目を見つけて植え付ける。

 アリは、成長中の苗を定期的に訪れる。発表された報道向け要約記事によると「苗に肥料を与えるために内部で排便し、その成長を助ける」のだという。苗は、木の内部に空洞の房を形成し、大きくなるとアリのコロニーの営巣空間となり、外敵からの保護を提供する。

 記事では「アリと植物は相互依存の関係にあり、どちらか一方が欠けるともう一方は生き延びることができない」と指摘された。

 研究チームは、アリとその栽培植物の進化の歴史を再構成し、両者の相互依存関係が築かれたのは約300万年前にさかのぼると結論付けた。歴史上最も多産な農業を営む現生人類が登場するはるか以前のことだ。

 スクアメラリアはいわゆる着生植物で、他の木の上で害を及ぼさない形で育つ。他の木に依存するのは構造上の支えだけで、水と栄養分は木に依存せず、空気と雨水から抽出する。(c)AFP