【11月20日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は19日、「英雄」と慕うロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と会談し、「偽善行為」、「弱い者いじめ」、対外戦争などの米国に対する不満をぶちまけた。

 プーチン氏への称賛を公式に表明していたドゥテルテ氏は、米国の植民地だったフィリピンは西側とされていたためフィリピン・ロシア間には冷戦(Cold War)が立ちはだかってきたが、自分が大統領となった今は違うと述べた。

 ドゥテルテ氏はペルーの首都リマ(Lima)で開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の合間に行われた45分間の会談で、「最近たくさんの西側諸国が弱い者いじめをしている。それだけに飽き足らず、非常に多くの偽善行為にも手を染めている」と述べた。

「彼らは戦争を始めたものの、戦地に行くのは怖いとみえる。米国をはじめとする国々の良くないところだ。彼らは非常に多くの地、ベトナムで、アフガニスタンで、イラクで、大量破壊兵器があるというだけの理由で戦争を行ってきた。そんなものはなかったのに」

 歯に衣着せぬ物言いをする指導者として自身を印象付けてきたドゥテルテ氏は、フィリピンが米国にベトナムとイラクでの戦争への派兵を「強要」されたとも述べた。

 フィリピン政府はイラクのサダム・フセイン(Saddam Hussein)政権と戦う米主導の連合軍に非戦闘部隊を派遣していたが、2004年、フィリピン人労働者が誘拐され首をはねるとの脅迫を受けたために、部隊を引き上げた。その際の米国の態度は厳しかったと、ドゥテルテ氏はフィリピン大統領府の報道局が撮影した映像の中で、プーチン氏に対して述べていた。

 ドゥテルテ氏は、フィリピンは欧州の一部になることを切望しているとも述べた。「距離こそ離れているものの、欧州の一部となることを切望してきた。特に通商貿易の分野ではそうだ」

 生真面目な指導者というイメージを育んできたドゥテルテ氏は10月、「私が大好きな英雄はプーチンだ」と発言。自身とプーチン氏は銃と女性に対する熱い思いも共有しているようだとも語っていた。

 ドゥテルテ氏は主催者に体調不良とのメッセージを送り、19日夜に行われたAPECの晩さん会を欠席した。ホテルで過ごすことにしたのは、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領と出くわすリスクを避けるためだったのかもしれない。オバマ氏はドゥテルテ氏にタガログ語で相手を売春婦の息子と侮蔑する「プータン・イナ」という表現で呼ばれたことを受け、9月の行われた別のサミットでのドゥテルテ氏との会談をキャンセルしている。(c)AFP