【11月17日 AFP】メキシコ東部にあるククルカン(Kukulkan)ピラミッドの内部に第3のピラミッドがあることが分かり、ピラミッド全体が「ロシアの入れ子人形」のような構造になっていることが明らかになった。専門家らが16日、発表した。

【あわせて読みたい】世界最大の水中洞窟でマヤ文明の遺跡や化石を発見

 同国ユカタン(Yucatan)州に位置するマヤ文明のチチェン・イッツァ(Chichen Itza)遺跡にある高さ30メートルのピラミッドは、その内部に高さ20メートルの別のピラミッドを包み込むような構造になっていることが知られていたが、今回さらにその内部に高さ10メートルのピラミッドがあることが分かった。

 技師と人類学者によると、最も小さいピラミッドが建設されたのは550~800年とみられ、1930年代に発見された2番目の構造物は800~1000年、最も大きいものは1050~1300年にそれぞれ完成したとみられるという。

 今回の発見は、「エル・カスティージョ(スペイン語で『城』の意)」として知られるこのピラミッドが3段階を経て建設されたことを示唆するものだ。

 プロジェクトリーダーを務めるメキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)の地球物理学の研究者レネ・チャベス・セグロ(Rene Chavez Seguro)氏は、「ロシアの入れ子の人形のようだ。大きいものの下に別のものがあり、その下にまた別のものがある」と語った。

 国立人類学歴史学研究所(INAH)の専門家デニス・アルゴテ(Denisse Argote)氏によると、各構造物が入れ子状態になっている理由は、構造物の劣化や指導者の交替などいくつか考えられるという。

 最小ピラミッドの存在は、構造物を破損させることなく内部に光を当てて観察する非侵襲的な技術を使った調査で明らかになった。

 アルゴテ氏は、今回の発見によって、メキシコ中部から来た人々の影響を受ける前の本来のマヤ文明についての解明が進むかもしれないと期待を寄せている。(c)AFP