【11月25日 AFP】北朝鮮で唯一のサッカーアカデミー、平壌国際蹴球学校(Pyongyang International Football School)。国際社会からの制裁にピッチでの厳しい現実と、同国のサッカーを取り巻く現状は明るくないが、彼らの目ははるかな高みを見据えている。――アカデミーの目標は、リオネル・メッシ(Lionel Messi)以上の選手を輩出し、北朝鮮代表が世界を席巻することだ。

 北朝鮮男子代表のFIFAランキングは126位(2016年11月現在)。アルメニアとエチオピアの間に位置し、何より韓国、日本、中国といったほかの東アジア勢には遠く及ばない。

 しかし、北朝鮮政府がスポーツでの成功を重要なプロパガンダ手段に位置づけていることもあり、2013年に開校したこの学校の野望は果てしない。今回、施設の案内を担当してくれた同校コーチのリ・ユイル(Ri Yu-Il)氏は、バロンドール(Ballon d'Or)に4度輝いたFCバルセロナ(FC Barcelona)のスーパースターの名前を引き合いに出し、次のように語っている。

「われわれはメッシのような選手を上回る技術を持った、超優秀な選手を育成するためのトレーニングを行っています。そのためにはまずは近い将来にアジアを支配しなくてはなりません。私としては、いずれ世界を席巻したいと考えています」

 サッカー北朝鮮代表が最も大きな輝きを放ったのは、1966年のW杯イングランド大会までさかのぼる。GKにリ氏の父親であるリ・チャンミュン(Ri Chang-Myung)を擁したチームは、強豪イタリアを1-0で破ってベスト8入りを果たした。しかし、そこから2010年の南アフリカ大会(2010 World Cup)でW杯本大会に復帰するまでには44年の歳月を要し、しかも結果は3戦全敗のグループリーグ敗退だった。

 こうした状況のなかで、メッシを超える選手を養成するというのは途方もない目標のようにも思えるが、全寮制のアカデミーに所属する9歳から15歳の子供200人(そのうち4割は女子)は、全力でボールを追いかけている。

 練習メニューのほとんどは一般的なものだが、なかには生徒たちがきっちり整列してコレオグラフィーを作り、音楽に合わせてボールスキルを披露するという変わった練習もある。その場面の映像は、学校の宣伝素材として使われるそうだ。