【11月16日 AFP】アラビア半島にある死海(Dead Sea)で15日、ヨルダンからイスラエルまでを泳いで横断するイベントが初めて開催され、塩分濃度の高い水の中を参加者たちが7時間かけて泳ぎ切った。

 地元の環境団体エコピース(EcoPeace)らが主催したもので、死海の水位が毎年約1メートル低下している現状を広く知ってもらう目的で行われた。

 主催者らによれば、世界各地から26人が参加し、最高年齢は68歳。塩分濃度の高い水が少量でも口や目に入るとひどい苦痛を引き起こすため、参加者たちは特別なフェースマスクを着用し、7時間かけて見事横断した。

 距離は17キロほどで、死海の水はミネラルが豊富で穏やかだが、塩分濃度は地中海(Mediterranean Sea)の10倍もあって体が浮いてしまうため、普通に泳ぐことはほぼ不可能だ。

 参加者の一人でスペイン人のサミュエル・モーランさん(40)は、「想像以上に困難だった」と語った。「最悪だったのは太陽と、塩分のせいで肌がヒリヒリしたこと。ずっと体が燃えているような感じだ」とモーランさんは言い、「何度も」リタイヤしようと思ったと付け加えた。

 イスラエル、ヨルダン、パレスチナ自治区に囲まれた死海は、海抜マイナス400メートルと地球上で最も低い場所にある。しかし専門家らは、水位低下が進めば、2050年までに消滅する恐れがあると警鐘を鳴らしている。(c)AFP/Joe Dyke