【11月15日 AFP】米国ではドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が次期大統領に選出されて以来、差別的な事件の報告が全土で相次いでおり、マイノリティー(少数派)や人権団体はヘイトクライム(憎悪犯罪)を行う団体が勢いづいているとして懸念を強めている。

 フィラデルフィア(Philadelphia)ではナチス・ドイツ(Nazi)のかぎ十字やスローガンが店頭に落書きされ、ニューヨーク(New York)の高校では外国人排斥を唱えるコールが上がり、脅迫メールが届き、大学のキャンパスでは差別的な行為が横行している。こうした事例が各地で急増しているのは、今月8日の大統領選以降だ。

 米国内のヘイトグループ(人種や宗教に基づく差別・憎悪を扇動する集団)を調査している人権団体「南部貧困法律センター(SPLC)」はマイノリティーに対して増加している攻撃事例を追跡調査しているが、中でも攻撃にさらされているのは、トランプ氏が選挙期間中に最も扇情的な表現を用いて移民排斥の標的にしていたヒスパニック系の人々だ。

 トランプ氏は13日に放送された米CBSテレビの番組インタビューで、イスラム教徒やヒスパニック系の人々に対する嫌がらせが急増していることについて質問されると「そうしたことを耳にして悲しんでいる」と述べる一方、そのような行為は「ごくわずかだった」と主張した。そして「もしもこれが役立つなら、まっすぐカメラに向かって言う。やめなさい」と述べた。