【11月15日 AFP】米国のスーザン・ライス(Susan Rice)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は14日、首都ワシントン(Washington D.C.)のホワイトハウス(White House)でAFPの独占インタビューに応じ、米国は同盟国との相互防衛条約を維持する一方で、環太平洋連携協定(TPP)が発効する見込みはなくなったと語った。

 米大統領選でドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が当選した後として初めて公の場で語ったライス氏は、トランプ氏が大統領職の重みを感じ、これまでの過激な姿勢を和らげるとみている。

 トランプ氏は選挙活動中、米国と相互防衛条約を結ぶ同盟国の一部は自国の役割を十分に果たしておらず、米政府がそれらの同盟国を防衛しようと考えなくなる可能性があると示唆していた。そのため数十年にわたり米国に守られてきた同盟国からは懸念の声が上がっていた。

 しかしトランプ氏の大統領就任が2か月余り先に迫る中、ライス氏はAFPとのインタビューで次のように述べてこうした懸念を払拭しようとした。

「このような同盟関係が持続し、パートナー各国が(米国に対して)抱く信頼感の源泉であり続けること、そして米国の傘の下から出ていく必要がないのだとパートナー諸国が理解することは米国の国益に資するのは明白だ」

 一方ライス氏は、米大統領選の両候補の選挙期間中にすでにそうなると分かっていた通り、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の政権下でTPPについて話がまとまることは不可能になったと認めた。

 トランプ氏は、これまでの貿易協定が米国の雇用に大きな打撃を与えたと主張し、選挙活動中は保護主義的な主張を強く打ち出していた。またトランプ氏に負けたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏もTPPに反対していた。

 しかしライス氏は、TPPの批准断念の可能性は高いが、仮にそれた現実のものとなれば、これまで米国の同盟国だった東南アジア諸国への中国の影響力が増大する余地が生じると警告し、「現時点でTPPは明らかに難しい局面にある」とAFPに述べた。(c)AFP/Andrew BEATTY