【11月15日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は14日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が次期大統領に選出されてから初めてとなる記者会見を行い、トランプ次期政権に対する悲観的な予測を戒める一方、大きな物議を醸した公約を同氏が実行に移そうとすれば現実を思い知ることになるとくぎを刺した。

 オバマ大統領は、何百万人もの移民を送還したり、北大西洋条約機構(NATO)や日本との相互防衛条約、イランの核開発に関する合意、地球温暖化に関する国際的な取り決めを破棄したりするのは、選挙期間中に熱弁を振るうほど簡単ではないと指摘。「米大統領職への就任に当たって、彼がどのような経験や思い込みを持ち込んだとしても、職に就けば目が覚めることになる」と語った。

 記者会見は時折、オバマ大統領がポピュリスト(大衆迎合主義者)の大富豪として知られるトランプ氏に向けて直接メッセージを送るような調子となった。「現実はおのずと明らかになる」とも忠告した。

 ホワイトハウス(White House)で先週、トランプ氏と会談した際に、自らの行動で市況や戦況、国民感情が動いてしまうことがあると助言したことも明かし、「トランプ氏には、今回の大統領選で激しい論争が起きて世論が分断されたことからも分かるように、自分の意思の表し方が大切だと念押しした」と説明した。

 トランプ氏について「懸念しているかといえば、もちろんそうだ。彼と私は数多くの問題で意見を異にしている」とも吐露。それでも「連邦政府とわが国の民主主義はスピードモーター(高速のモーターボート)のようなものではない。オーシャンライナー(大洋を渡る定期船)だ」と表現した。

 オバマ大統領はその一方で、トランプ氏に政治経験がなく、過剰な知識が生み出す思い込みと無縁なことはかえって利点になるかもしれないとも指摘。「トランプ氏がイデオロギーを重視する人物だとは思わない。結局は実利的に行動する人物なのではないか」との見解を示した。(c)AFP/Andrew BEATTY