【11月13日 AFP】パキスタン南西部バルチスタン(Balochistan)州当局によると、同州で12日、スーフィー(Sufi、イスラム神秘主義)の霊廟で爆発があり、少なくとも52人が死亡、100人以上が負傷した。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した。

 同州州都のクエッタ(Quetta)から約750キロ南のクズダル(Khuzdar)地区にあるシャー・ヌーラー二(Shah Noorani)霊廟で式典が開かれていた最中に爆発が発生し、参加していた信徒らが被害に遭った。

 同州のサルファズ・ブグティ(Sarfraz Bugti)内相はAFPに対し、「少なくとも52人が死亡し、105人前後が負傷した」と語り、犠牲者には女性と子どもも含まれていると述べた。

 地元当局者によると、霊廟では爆発発生時、毎夕行われる礼拝の舞踊に信徒らが参加していた。同霊廟は山中の遠隔地域にあり医療施設が限られていることから、現場まで車で3時間かかるパキスタン南部の海港都市カラチ(Karachi)から救急車と医療スタッフを派遣したという。

 イスラム教スンニ派(Sunni)とパキスタンで少数派のイスラム教シーア派(Shiite)の両方の信徒がこの霊廟をあがめて参詣しているが、そのような行為をアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)やISなどの武装勢力は反イスラム的だと捉えている。

 ISは傘下の通信社アマック(Amaq)を通じ、自爆犯1人が霊廟を狙い、約35人を殺害し、95人を負傷させたとする犯行声明を出した。しかしバルチスタン州の内相は今回の事件が自爆攻撃だったのか、現時点でははっきりしていないと述べた。

 地元当局者が独立系放送局Geo TVに語ったところによると週末になるとカラチから多くの熱心な信徒がこの霊廟を訪れ、事件当時、霊廟には約600人がいたという。

 同国では今年6月にも、有名なスーフィーの歌手アムジャド・サブリ(Amjad Sabri)氏がカラチで男2人から銃撃を受け殺害される事件が起こっていた。サブリさんは有名なスーフィー信徒だったことから殺害されたという説もある。

 イスラム教神秘主義のスーフィーでは存命の聖人を信じ、音楽を使って礼拝を行うことなどから、タリバンのようなイスラム原理主義者からは異端視されることが多い。

 バルチスタン州はイラン、アフガニスタンと国境を接しており、原油や天然ガスなどの資源があるが、イスラム過激派の暴力やイスラム教スンニ派、シーア派間の宗派闘争、分離独立派による攻撃なども頻発している。(c)AFP/Maaz Khan