【11月12日 AFP】ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は11日、現職の国務長官として初めて南極を訪問し、気候変動の世界的リスクとそれに対抗するための積極的な行動の重要性に言及した。気候変動対策に熱心に取り組んできたケリー氏にとって歴史的訪問となった。

 ケリー氏は南極にある米国の調査基地としては最大規模のマクマード基地(McMurdo Station)に到着。予定されていた南極点(South Pole)訪問は荒天のため中止となったが、代わりに景色の良いマクマード・ドライバレー(McMurdo Dry Valleys)を訪問した。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権が発足する2017年1月20日に退任するケリー長官は、米大統領選でトランプ氏が勝利したことへのコメントは控えた。しかしケリー氏は、トランプ次期大統領が気候科学を否定していることに暗に言及し、選挙で選ばれた議員を通じて温暖化ガスの排出制限するためのより大胆な行動を組織的に求めていくよう、市民らに呼び掛けた。

 2015年に温室効果ガスの削減に向けた新たな国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」が採択されているが、ケリー氏は南極で働く研究者やスタッフに対し、「われわれはまだ闘いに勝利していない」と述べた。「さらに運動を続けていかなければならない。もっと多くの人を参加させなければならない」

 ケリー氏は来週、モロッコで開かれている「パリ協定」の実施について話し合う国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第22回締約国会議(COP22)に出席する予定になっている。(c)AFP