【11月11日 AFP】米大統領選で共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が民主党のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏を破り大統領に選出されたことに激怒するカリフォルニア(California)州のリベラル派の一部にとって、唯一残された道は、米国を離脱することだ。

 専門家らは、「黄金の州」と呼ばれる同州が独立した国家となる見込みはほとんどないか皆無と述べているが、衝撃的な選挙結果に幻滅し、自身が外国にいるよそ者のようだと感じている多数の人々は、こうした考えに魅了されている。

 米シンクタンク「ミルケン研究所(Milken Institute)」のケビン・クローデン(Kevin Klowden)氏は、選挙結果はカリフォルニア州が「真に分離」していることを示したと述べ、「大統領選に敗れた候補が、カリフォルニアでは劇的な勝利を収めた」と指摘した。

 同州は、環境に関する法律や銃規制法、同性愛者の権利など、先進的な政策で知られる。8日には嗜好(しこう)用大麻合法化の是非を問う住民投票が行われ、賛成多数で可決された。

 その一方で、トランプ氏が掲げる反移民政策や銃容認の立場、気候変動への懐疑的な態度ほど、大半のカリフォルニア州の人々の考え方からかい離したものはない。

 トランプ氏の勝利が確実となった直後、同州の州都サクラメント(Sacramento)やロサンゼルス(Los Angeles)、その他の都市では、人々が路上に出て抗議し、失望感をあらわにした。

 またソーシャルメディア上では、ハッシュタグ「#Calexit(カレグジット、米国からのカリフォルニア州の離脱)」の付いたメッセージが目立つようになり、ツイッター(Twitter)では多数のユーザーがそれに「#notmypresident(私の大統領ではない)」を付け加えた。

 あるツイッターのユーザーは、「私は偏見や性差別、外国人嫌悪に共感できない」、「私はもう米国人ではない。カリフォルニア人だ」と投稿。また別のユーザーは、「(州の名産品の)アボカドと合法大麻を持って行こう」と呼び掛けた。

 同州シリコンバレー(Silicon Valley)のベンチャー投資家でイラン系米国人のシャービン・ピシェバー(Shervin Pishevar)氏は、分離独立運動に喜んで投資すると語った。

 同氏は8日、予想外の選挙結果が伝わる中、「もしトランプが勝ったら、カリフォルニア州を独立国家とするための合法的なキャンペーンを発表し、それに投資する」とツイッターに投稿。

 新たな国家の名称は、「ニューカリフォルニア」にするつもりだという。

 4000万人近い人口を抱えるカリフォルニア州は、米国で最も多様な人種が集まる州の一つで、ヒスパニック系とその他の民族を合わせた人口は白人を上回る。

 また国際通貨基金(IMF)によると、2015年の同州の経済規模は世界第6位で、フランスやインドを上回っている。(c)AFP/Veronique DUPONT