【11月5日 AFP】米誌ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)の表紙を飾った写真の被写体として有名なアフガニスタン人女性が、数十年にわたり暮らしていたパキスタンからアフガニスタンに送還されることが決まった。女性はAFPの取材に対し「悲嘆に暮れている」と語った。

 1980年代にパキスタンの難民キャンプで撮影した当時12歳のシャーバート・グーラー(Sharbat Gula)さんの写真は、その印象的な緑色の瞳などから、ナショナル・ジオグラフィック誌で最も有名な表紙写真となった。

 グーラーさんはC型肝炎で治療を受けているパキスタン・ペシャワル(Peshawar)病院のベッドでAFPの取材に応じ、次のように心境を語った。

「アフガニスタンは私が生まれた国というだけで、私の故郷はパキスタンだ。私はいつも、パキスタンが自分の国だと思っていた」「私はパキスタンで生き、死んでいくことを決意していたのに、この国は私に対して最悪のことをした。私があそこ(アフガニスタン)で生まれたのは私の責任ではない。私にはこの国を去るほか選択肢はなく、とても落胆している」

 現在45歳だと言うグーラーさんは、不正な身分証明書でパキスタンで生活したとして2年間にわたり捜査を受けた後、先週同国で逮捕された。グーラーさんは、アフガニスタンの暴力を逃れ、安全を求めて不正な身分証明書を使いパキスタンで生活する数千人に及ぶ難民の1人だ。

 弁護士によると、4人の子どもを持ち、文字の読み書きが出来ないグーラーさんは4日、裁判で有罪を認め、禁錮15日の刑を言い渡された。グーラーさんは刑期終了後に国外追放となる。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)によると、すでに11日間拘束されているため、早ければ今月7日にも釈放される可能性がある。

 アフガニスタンの領事館関係者によれば、11万パキスタン・ルピー(約11万円)の罰金も言い渡され、グーラーさんはすでに納付したという。(c)AFP/Saad KHAN