【11月5日 AFP】4日に行われた男子テニス、パリ・マスターズ(BNP Paribas Masters 2016)で準々決勝敗退に終わったノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)だが、122週間守り続けてきた世界ランク1位の座をアンディ・マレー(Andy Murray、英国)に奪われそうな状況に不安を抱いていないと主張した。

 史上最多の大会通算4度の優勝を誇るジョコビッチは、マリン・チリッチ(Marin Cilic、クロアチア)に通算15回目の対戦で初黒星を喫し、今年6月の全仏オープン(French Open 2016)を制して生涯グランドスラムを達成した圧倒的な強さに陰りがみえ始めている。

「コートに立ったとき、勝ちたいと思っている選手は世界中で自分だけではないことは分かっている」と話す29歳のジョコビッチは、現在の最優先課題はランキングではないと付け加え、「まずはすべての試合で自分のパフォーマンスができるような精神状態を維持していくことだ。この数か月間は、そのレベルに到達できていなかった」と明かした。

「とにかくいろんな出来事に遭遇している。この2年間は、いろんな物事や感情が心と体を通り過ぎていった。そういったなかで、今年は生涯グランドスラムを達成できて本当に感謝している。だけど、たくさんのことも失った。物事を並べて考え直してみると、自分が望んでいる方向に疑問が沸いてきた」

「現時点ではそのプロセスにあり、すべての物事を見直すのに、しばらくは時間が必要になるだろう。それでも、ここにとどまっているし、正しい方向に進んでいると感じている。以前よりメンタル面は落ち着いてきた。とにかく今は、そう考えている」

 ここ数年間シーズン終盤に圧倒的な強さを発揮していたジョコビッチは、パリ・マスターズでは前回大会まで3連覇を記録しており、英ロンドン(London)で開催されるATPワールドツアー・ファイナル(ATP World Tour Finals)でも4連覇を果たしている。

 今大会では連覇を逃したものの、ロンドンのO2アリーナ(O2 Arena)で行われる最終戦で、四大大会(グランドスラム)通算12勝を誇るジョコビッチには実力が決して衰えてはいないことを示す機会が巡ってくる。

「こういう時期もある。スポーツでは調子が下降するのは当たり前のことだ。これから先のことは、あまり気にしすぎないようにしている。いつも勝てるわけじゃない」

「どんな将来が待っているのか、自分にはどうにもできない。感じるままに今のレベルでプレーを維持していくことが、自分にとって正しいはず」

(c)AFP/Martyn WOOD