【11月4日 AFP】リオデジャネイロ五輪の競泳で金メダルを獲得したオーストラリアのカイル・チャルマース(Kyle Chalmers)が、心臓の異常により短水路の国内選手権出場を取りやめ、来月行われる第13回世界短水路選手権(FINA Short Course World Swimming Championships 2016)の出場も危ぶまれている。

 18歳のチャルマースは、時折脈拍を速める発作を起こす上室性頻拍症(SVT)にかかっている。今年は症状が表れることはなかったものの、3日にブリスベン(Brisbane)で行われた国内選手権の男子100メートル自由形の決勝を前に発作を起こした。チャルマースは、医療スタッフの診察を受けた後、決勝レースに出場しないよう忠告を受けたという。

 リオ五輪の100メートル自由形で思わぬ伏兵として金メダルを手にしたチャルマースは昨年、症状改善のために手術を受けており、今後もさらなる治療が必要になるとみられている。

 チャルマースは今年初め、「トレーニングをすると、不規則に上がった脈拍が30分くらい200を越えることがあるんです。感じられますよ。全身がふらふらします」と語っていた。

 この2年間は症状に悩まされることなく、チャルマースは国内の選考会や主要大会に出場していた。

 オーストラリア代表のジャッコ・ヴェハーレン(Jacco Verhaeren)ヘッドコーチは、現在のチャルマースの脈拍は正常で、同選手は泳ぎたがってはいたものの、危険を冒す価値はないと納得させられていたと明かした。

「まだ国内王者に一度もなったことがなく、代表入りをかなえたかったようで、かなり落胆していた。とはいえ、健康より重要なものはないし、彼もそれを理解している」

 チャルマースが欠場したレースは、キャメロン・マケボイ(Cameron McEvoy)が自己記録の46秒19で制覇した。

 ヴェハーレン氏は、代表選考委員会が4日に世界選手権に関するチャルマースの状況について話し合うと口にする。

「どの程度までの特例が許されるかだ。レースに出場した選手に『いやいや、彼を代表にする』と言うのも不公平というものだろう。忙しい会合になるのは間違いない」

 同氏によると、チャルマースは4日に行われる200メートル自由形に出場し、12月にカナダ・ウィンザー(Windsor)で行われる世界選手権への出場権を目指すことができるかもしれないという。(c)AFP