【11月4日 AFP】世界中の人々に50年以上にわたって愛されてきたチョコレート風味の甘いヘーゼルナッツスプレッド「ヌテラ(Nutella)」――果たしてヌテラはスイーツなのか、それともジャム類なのか。

 ヌテラ製造元の伊食品メーカー「フェレロ(Ferrero)」は、米国ではヌテラをアイスクリームにかけるよりもトーストに塗って食べる割合の方がはるかに高いと主張し、この事実を認識させようと米当局に働きかけている。米食品医薬品局(FDA)は全ての食品に栄養成分表のラベル表示を義務付けているが、消費者の購買行動はこうしたラベルのデータに左右されがちだ。ヌテラの1食当たりの表示量を半量に減らせれば、脂質、糖質、エネルギーの表示量も減らせる。

■「シロップ対スプレッド」論争に

 近年、フェレロはヌテラは高糖質食品との不評に悩まされてきた。2012年には米カリフォルニア(California)州で4歳児の母親の訴えをきっかけに集団訴訟を起こされ、フェレロはヌテラを健康食品とした宣伝活動を中止することに合意した。

 その一方で2014年にはFDAに書簡を送り、この中で同社が2012年に行った3~12歳の子供を持つ母親722人を対象とした調査では、回答者の74%がヌテラをパンに塗って食べており、アイスクリームにかける食べ方を好むとの回答は2%にすぎなかったと指摘。一方、大半の消費者がヌテラをチョコレートシロップとして食べていたとの結果は1991年の調査時のもので、現在に即していないと主張した。フェレロの2012年時の調査では消費者が摂取するヌテラは1食当たり小さじ1杯。グラム換算にすると18~23グラムで、現在1食分とされている量の半分だ。

 こうした状況を受けてFDAは2日、ココア、クッキー、コーヒー風味などのナッツバタースプレッドについて、その食べ方と通常の1食分の量を米国の消費者に問うパブリックコメント(一般意見)の受け付けを開始。ヌテラは甘いシロップか、それともスプレッドなのかをめぐり、FDAのウェブサイトにはグリニッジ標準時(GMT)3日の午後3時(日本時間4日午前0時)までに62件のコメントが寄せられた。

 ヌテラ論争に関する意見の受け付け期間は1月3日まで。(c)AFP