【11月2日 AFP】米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が利用した納税回避方法について、同氏の弁護士らが「合法性が疑われる」ため政府によって不適切とみなされる恐れがあると忠告していたと、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じた。

 同紙は10日31日付の記事で、新たに入手した文書からの情報として、トランプ氏が1990年代に経営破綻を回避しようと奔走し、数億ドル(数百億円)分の課税所得の申告を免れていたと伝えている。

 同記事によると、議会は後にトランプ氏が使った手法の一つを禁止したという。トランプ氏はこの手法によって、数千万ドル(約数十億円)の個人所得税納付を回避した可能性がある。

 ニューヨーク・タイムズは税の専門家に対し、トランプ氏の税務弁護士とのやり取りを含む新文書の調査を依頼したが、トランプ氏が確定申告書の公開を拒否しているため、同氏が得た利益または納税回避分がどの程度の規模なのかを見極めることは不可能だとしている。

 税務専門家らは、トランプ氏が他人の資金の損失分を、自らの税優遇に利用したと指摘。これには、経営に失敗したアトランティックシティー(Atlantic City)のカジノの投資家らの損失も含まれている。

 こうしたカジノの建設で生じた借入金の多くは免除されたが、この債務は内国歳入庁(IRS)の規則では通常、課税所得とみなされるものだった。同紙が入手した文書によると、トランプ氏は1995年の確定申告で、9億1600万ドル(約950億円)もの巨額損失を申告していたという。

 トランプ氏はこれまで、納税額を減らせるようあらゆる手段を使ってきたことは、実業家として「賢い」選択だったと繰り返し吹聴してきた。

 米大統領選は、来週の8日に投票日を控えている。政治情報サイトのリアルクリア・ポリティクス(RealClear Politics)がまとめた世論調査結果の平均では、民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏がトランプ氏に対し2ポイントのリードを保持。しかし1日に公表されたABCニュース(ABC News)とワシントン・ポスト(Washington Post)紙による最新の合同世論調査では、クリントン氏の支持率が数ポイント下がり、トランプ氏が1ポイント差でリードしたという結果が示された。(c)AFP