【10月31日 AFP】深刻な大気汚染により、脳の発育が阻害されるなど身体への影響が懸念される子どもの数は、世界で約3億人に上ることが30日明らかになった。国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)が同日、報告書を発表した。

 ユニセフが発表した報告書によると、全世界の子どもの約7人に1人は、国際基準の6倍以上の汚染された空気の中で日々生活しているという。ユニセフは、子どもの死に関係する主な要因として大気汚染を挙げている。

 報告書は、モロッコで来月7~18日まで開催される国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第22回締約国会議(COP22)が約1週間後に迫る中で発表された。

 ユニセフのアンソニー・レイク(Anthony Lake)事務局長は、「大気汚染は、年間60万人に上る5歳未満の子どもの死の最大要因となっているだけでなく、数百万人の命とその将来を日々脅かし続けている」と述べた。

 世界の大気汚染が深刻な地域で暮らす子どもの数は、南アジアで約6億2000万人と最も多く、アフリカの約5億2000万人、東アジアと太平洋地域の約4億5000万人がこれに続いた。

 ユニセフによると、大気汚染は、5歳未満で死亡する子どもの約10人に1人の死因である肺炎やその他の呼吸器疾患の直接的原因となっており、子どもの健康を害する最大のリスクとなっているという。また、子どもの肺や脳、免疫システムはまだ発育段階にあり、気道の浸透性も高いため、大人よりも大気汚染の影響を受けやすいとされた。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI