【10月30日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」からのモスル(Mosul)奪還作戦開始後2週間近くが経過したイラクで29日、民兵部隊が同市と隣国シリアにあるISの拠点を結ぶ供給ルートを断つ新しい作戦を開始した。

 モスル奪還作戦開始後、イラク軍は同市の北、東、南の各方面からモスルに向けて地上部隊を進軍させていたが、これまでモスルの西には部隊を展開させていなかった。

 モスルの西に位置する町タルアファル(Tal Afar)に29日、イランが支援するイスラム教シーア派(Shiite)民兵が主でこれまでは控え的な役割を果たしていたハシド・シャービ(Hashed al-Shaabi)が展開し、新たな作戦を始めた。

 ハシド・シャービのアフメド・アサディ(Ahmed al-Assadi)報道官はAFPに対し、「(タルアファルの)作戦は、モスルとラッカ(Raqa)の供給ラインを断つ目的で実施されるものだ」と語った。ラッカはISが事実上の首都とするシリアの拠点を指す。

 アサディ広報官は、今回の作戦はモスル南方地域から進軍が行われ、ハトラ(Hatra)、タルアブタ(Tal Abta)、タルアファルの各町の奪還を目的としていると述べた。

 タルアファルに進軍したことで、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産として登録された古代都市で、すでにISに破壊されたハトラのすぐ近くで戦闘が行われることになる。また名前は挙がらなかったものの、作戦は先にISによる破壊行為を受けていたニムルド(Nimrud)遺跡付近でも行われる可能性がある。

 モスル奪回作戦にシーア派民兵が加わることは論争の的となっていたが、ハシド・シャービの複数の幹部はイスラム教スンニ派(Sunni)が多数を占める地域に進軍する計画はないと述べている。

 タルアファルは2014年にISに占拠されるまでシーア派のトルクメン系住民が大多数を占めていた。同町の奪還はシーア派民兵の主要な目的になっている。(c)AFP/Ahmad al-Rubaye with Ammar Karim in Baghdad