【10月28日 AFP】米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官の夫のビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領が、クリントン一家の慈善団体「クリントン財団(Clinton Foundation)」の活動に絡み、自らの側近の便宜によって多額の私的収入を得ていた疑惑が、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」が公開した元側近のメモによって浮上した。

 ウィキリークスが暴露した2011年のメモの中で、ビル氏の元側近ダグラス・バンド(Douglas Band)氏は、クリントン財団の代表を務めていた期間に「営利」活動関連で5000万ドル(約53億円)以上を個人的にビル氏に提供したと述べている。バンド氏は、ビル氏個人とクリントン財団の両方の代わりに行っていたこうした営利活動のネットワークを「ビル・クリントン社(Bill Clinton Inc.)」と名付け、詳細な記録をつけていた。

 メモからはまた、クリントン財団がビル氏の側近らと娘のチェルシー(Chelsea Clinton)さんの間で緊張の種となっていたこともうかがわれる。チェルシーさんはビル氏の側近らについて「私の両親から個人的に多額の金銭を奪い」、財団の行事の来賓にも自分たちのビジネスを強引に売り込んでいると非難していた。バンド氏のメモは、チェルシーさんの苦情に対する返答として送られたものだった。

 これらのメモは、クリントン財団で幹部を務めた後、現在はヒラリー・クリントン陣営の選対部長を務めているジョン・ポデスタ(John Podesta)氏のアカウントからウィキリークスが盗み出した数万通の電子メールから発覚した。米情報当局は、米大統領選のかく乱を狙うロシアのハッカー集団によってポデスタ氏のメールが盗み出されたとみている。ポデスタ氏はこれらの電子メールが本物かどうか確認することを拒否しているが、同氏もクリントン財団もメールが偽物だとは主張していない。

 この疑惑を受けて、共和党大統領候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は声明で「クリントン一家はホワイトハウス(White House)にいないときですら自分たちの『会社』でインチキをしようとするのだとすれば、大統領執務室を支配する機会を得たら一体どうなるか想像してみてほしい」と皮肉り、「明白な腐敗だ」と糾弾した。(c)AFP/Ivan Couronne