【10月28日 AFP】メキシコ人やイスラム教徒、女性を侮辱するような発言を繰り返してきた米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏。だが今週末のヒンズー教の光の祝祭「ディワリ(Diwali)」を前に27日から放送を開始した選挙広告では、インドの公用語の一つヒンディー語で語り掛けてみせている。世論調査で民主党候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官に引き離される中、インド系有権者の票を掘り起こす狙いだ。

 トランプ氏は30秒のこの広告で、2014年にインド首相に就任したナレンドラ・モディ(Narendra Modi)氏が選挙運動中に掲げたスローガンをもじり、ヒンディー語で「Ab Ki Baar Trump Sarkaar」と語っている。画面上には「今回はトランプ政府だ」というその翻訳が英語の字幕で添えられている。

 トランプの言葉には強い米国なまりがあるかもしれないが、今週末のディワリに先立ち、インド系有権者の票を獲得しようと新たな演出を試みた形だ。

 広告は「ハッピー・ディワリ」というメッセージで始まり、トランプ氏が今月行ったニュージャージー(New Jersey)州での会合で演説している映像を使用。その中でトランプ氏は、ランプに火をともし、緊密な米印関係を誓っている。

 米政治情報サイト「リアルクリア・ポリティクス(RealClearPolitics)」がまとめた最新世論調査によると、トランプ氏はクリントン氏と他の2候補の計4人を対象とした支持率でクリントン氏に5.4ポイントの後れを取っており、選挙人団の票ではクリントン氏が勝利する公算が大きくなっている。

 昨年の国勢調査に基づくと、米国で生活するインド系住民は推定約400万人。米シンクタンク「ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)」によれば、人種別では教育水準が最上位クラスに入り、全般的に所得も高い。

 同センターが2014年に行った調査では、うちヒンズー教徒は半数程度にとどまり、民主党支持もしくは同党寄りの人が65%を占めている。(c)AFP