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「ペイシェント・ゼロ」、米エイズ流行の起源ではないと証明 研究

2016年10月27日 17:04 発信地:パリ/フランス

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「ペイシェント・ゼロ」、米エイズ流行の起源ではないと証明 研究
米首都ワシントンにある国立公園ナショナルモールに「エイズ・キルト」を広げるボランティアたち(2012年7月23日撮影、資料写真)。(c)AFP/KAREN BLEIER

【10月27日 AFP】米国にAIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)をまん延させた最初の患者「ペイシェント・ゼロ」として同性愛者の男性が不当なレッテルを貼られたのは、患者番号の誤解と1980年代のメディアの過剰な報道が原因だと決定づける研究結果が26日、発表された。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に発表されたこの論文は、科学と歴史学の両観点から分析を行った。それによると、エイズの原因であり、米国内で40年ほどの間に65万人以上の命を奪ったHIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、1970年頃にカリブ海(Caribbean Sea)地域から米ニューヨーク(New York)に持ち込まれたという。

 33年前の血液サンプルを最新技術で分析した結果、米国にHIVを大流行させた張本人として死後に中傷されたこの男性、ガエタン・デュガ(Gaetan Dugas)さんは、エイズに侵された大勢の患者の一人にすぎなかったことが決定的に証明された。

 フランス系カナダ人で航空会社の従業員だったデュガさんは1984年に亡くなるまで、自身の多数の性交渉パートナーを特定し、科学者らがエイズの感染経路を調査する手助けをした。

 論文の主執筆者の一人で公衆衛生史の専門家、リチャード・マッケイ(Richard McKay)氏は「デュガさんは歴史上で最も悪者扱いされている患者の一人だ」と述べた。

「ペイシェント・ゼロ」の発端は1982年、カリフォルニア(California)州南部で珍しい致死性の肺感染症にかかった男性数人が、性的な関係で結び付いていることに米疾病対策センター(CDC)の調査チームが気付いたことだった。

 当時はまだエイズだと分かっていなかったこの感染症について、調査チームは患者同士の関係性を明らかにして感染源を突き止めるため、患者に聞き取り調査を実施。すると、1人の男性が繰り返し浮上した。それがデュガさんだった。

 調査チームは手順に従い、デュガさんに患者番号「057」を割り当てた。

 デュガさんの出身は、調査を行ったロサンゼルス(Los Angeles)ではなくニューヨークだったため、調査チームは「カリフォルニア州外(Outside-of-California)」の頭文字「O(オー)」を、デュガさんの番号に付け加えて記載した。

 だが間もなく、調査チームは「不明瞭な楕円(だえん)形を数字と解釈し、『ペイシェント・オー』を『ペイシェント・ゼロ』と呼び始めた」と、マッケイ氏は説明した。

 一方で保健当局者らは、潜在的な感染ネットワークが広範囲に及んでいる可能性に気づき始めていた。ロサンゼルの感染集団(クラスター)に属する同性愛男性のうち、65%以上が生涯で1000人以上と性的な関係を持ち、75%以上が前年だけで50人と関係を持ったと報告した。


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