【11月19日 AFP】巨体の男は練習後、膝をアイシングしながら椅子に座り、ほぼ未知の世界として迎えるバスケットボールの新シーズンについて口を開いた。―元米プロバスケットボール(NBA)のアマレ・スタウドマイアー(Amare Stoudemire)は、かつて自身の移籍を大々的に宣伝したタイムズスクエア(Times Square)の電光掲示板がきらめく米ニューヨーク(New York)から遠く離れた中東エルサレム(Jerusalem)に渡った。

 ここに来たことを喜んでいると強調するスタウドマイアーは、苦難の連続だったNBAでのキャリアと人生を経て、精神的なつながりを感じている場所でのプレーを選択した。新天地のハポエル・エルサレムBC(Hapoel Jerusalem)でシーズン開幕を迎える前日には、「後悔はまったくない」とコメントした34歳の巨人は、貧困から抜け出して米プロバスケットボール界で名声を築いた波乱万丈の道を経て、新たな旅路を進んでいる。

 大きな成功が約束されていたNBAでのキャリアがけがで短縮されてしまったスタウドマイアーは、エルサレムで暮らすことを決意し、イスラエルリーグに加入した史上最も有名な選手となった。

 代理人を務めるハッピー・ウォルターズ(Happy Walters)氏は、スタウドマイアーがニューヨーク時代に一時ユダヤ教へ改宗し、イスラエルで市民権を獲得する道を模索していたことを公表。一方で、スタウドマイアーも最近、自身は古代イスラエル部族の血を引くと信じるアフリカ系米国人だと明かした。

 これまでスタウドマイアーは観光以外にも、現在の所属チームのオーナーとしてエルサレムやイスラエルを定期的に訪れていたが、選手として加入する際には、持ち株を売却するとされていた。エルサレムに移ったのは、バスケットボールに加えて精神面が理由であると説明すると、初戦の前日にはAFPの取材に対し、「どんな感情が湧くか分からない」と話した。

「エルサレムのファンの前で初めてプレーするときは、きっと今まで感じたことがない気持ちになるだろう」と話すスタウドマイアーは、体中に散りばめられたタトゥーのなかに、ユダヤ人の象徴とされるダビデの星(Star of David)などを刻んでいる。