【10月25日 AFP】車で俳優をひき殺した罪で収監されている米ヒップホップ界の大物シュグ・ナイト(Marion "Suge" Knight)が、自身を殺害するために殺し屋を雇ったとして、共同でレーベルを創設したドクター・ドレー(Dr. Dre)を提訴したことが24日分かった。

 ナイトはこの訴訟でさまざまな要求をしており、その一つではドレーが生涯を通じて所得の30%をナイトに支払うことに同意していたと主張。所得にはドレーが設立しヘッドホンなどのオーディオ機器を手掛けるビーツ(Beats)が、2014年にアップル(Apple)に30億ドル(約3130億円)で買収された際の収入も含まれるとしている。

 また、殺し屋を雇うのには米大手映画会社ユニバーサル(Universal)も協力したと主張。ドレーをはじめ、暴力的な内容のラップの一種であるギャングスタ・ラップのパイオニア「N.W.A.」のメンバーたちはナイトに、昨年公開され話題をさらったN.W.Aの伝記ストーリー「ストレイト・アウタ・コンプトン(Straight Outta Compton)」の撮影時にナイトが犯したことをやり返すと話していたからだという。

 かつて成功していたヒップホップのレーベル「デス・ロウ・レコード(Death Row Records)」をドレーと共同で創設したナイトは、同映画の撮影が行われていた2015年1月、ロサンゼルス(Los Angeles)にあるファストフード店の駐車場で、仲間で俳優のテリー・カーター(Terry Carter)さんを車でひき殺したとして収監されている。

 ナイトはロサンゼルスの上級裁判所で起こした今回の訴訟で、この殺人事件についても、映画監督のクリー・スローン(Cle Sloan)氏が銃を向けてきたとして正当防衛だったと主張している。

 このほかアップルに対しても、デス・ロウ・レコードが破産申請を模索していた時期に弁護士を雇い、ナイトやレーベル側に「しつこく圧力をかけた」と非難の矛先を向けている。

 ドレーの弁護士はナイトの主張について、あり得ない話だと一蹴しているという。(c)AFP