【10月24日 AFP】(更新)フランス北部の港町カレー(Calais)で24日、英国を目指す移民たち数千人が暮らす大規模なキャンプ、通称「ジャングル(Jungle)」の撤去を控え、移民たちがスーツケースや荷物を持って立ち退きを開始した。

 欧州の移民危機における対応の失敗例として知られるようになった「ジャングル」には現在、6000人~8000人が滞在しているとみられる。立ち退き作業は3日間かけて行われる予定で、乱立する掘っ立て小屋やテントも全て撤去される。

 立ち退かされる移民たちは、バスでフランス各地の臨時避難施設に移送され、そこで難民申請を行うことになる。現地には警官1200人以上が配備され、不測の事態に備える。

 1台目のバスは、スーダン出身の移民たち50人を乗せて午前8時45分(日本時間同日午後3時45分)ごろ、フランス東部ブルゴーニュ(Burgundy)へと向けて出発した。

 フランス政府は今回の立ち退きを「人道的」な措置だとしている。「ジャングル」はこの1年半でみるみる巨大化し、アフガニスタンやスーダン、エリトリアからの難民を中心に、英国へ渡りたい人々がひしめき合う仏国内最大のスラムと化していた。カレー近郊では毎夜のように、英国に向かうトラックに乗り込もうとする移民らと警察との衝突が起きていた。今回のキャンプ撤去は地元への負担緩和が狙いだ。

 立ち退きを控えた23日、「ジャングル」では仏当局者やボランティアらが立ち退き期限が迫っていることを知らせるビラを配って回ったが、それでも一部の移民たちはかたくなに英国での新生活への希望を口にしていた。仏移民局(OFII)のディディエ・レシー(Didier Leschi)局長は「施設に入るよう全員を説得できていない。英国行きの夢を捨てきれない人々がいる」とAFPに語った。

 各支援団体は、一部の移民が移送に抵抗する可能性があると警告している。(c)AFP