【10月24日 AFP】1970年代にフランス・パリ(Paris)を旅行中に芸術のとりこになった米テキサス(Texas)州出身の夫婦が、それ以来収集してきた数百点の芸術作品をパリの美術館に寄贈することを決めた。その価値は総額でおよそ400億円に上り、大きな話題を呼んでいる。

 夫婦は実業家のスペンサー・ヘイズ(Spencer Hays)さん(80)と妻のマーリーン(Marlen Hays)さん(80)。22日、第1弾としてフランスの印象派の画家エドガー・ドガ(Edgar Degas)やイタリアの画家アメデオ・モディリアニ(Amedeo Modigliani)を含む作品187点、総額約1億7300万ユーロ(約195億円)相当をオルセー美術館(Musee d'Orsay)に寄贈する正式な手続きをパリで行った。

 フランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領も出席してエリゼ宮(Elysee Palace、仏大統領府)で開かれた式典に出席したヘイズさんは「妻のマーリーンと私はテキサス州の片田舎のゲーンズビル(Gainesville)で育ち、フランスを訪れることなど考えられなかった。しかし1971年に初めてパリを訪れる機会に恵まれ、この素晴らしい国との恋が始まった」と説明、「われわれ夫婦が死んだ後、これまで収集してきた芸術作品はフランスの人々に贈られる」と語った。

 結婚して60年になるスペンサー夫婦は、19~20世紀初頭の芸術作品600点余りを所蔵しており、その価値は総額3億5000万ユーロ(約395億円)相当。コレクションは膨らみ続けている。

 夫婦はフランス最高の勲章であるレジオン・ドヌール勲章(Legion d'Honneur)を受章。オランド大統領は「ご夫妻のことを知っている人の間では、それぞれの誕生日である7月14日と12月7日前後にコレクションが増えることはよく知られている。今年もお互いにプレゼントし、コレクションはさらに増えるだろう。相手の期待に応えられるプレゼントをするのは簡単ではなさそうだ」と述べ、夫婦による寄贈はフランスにとって栄誉だと称賛した。(c)AFP