【10月22日 AFP】国連(UN)主導の調査団は21日、シリアでの化学兵器使用についての報告書を国連安全保障理事会(UN Security Council)に提出し、2015年3月にシリア政府軍が同国のクミナス(Qmenas)で化学兵器を使用したと明らかにした。

 その一方で報告書は、2014年4月にシリア中部ハマ(Hama)県カファルゼイタ(Kafr Zita)で、2015年3月にシリア北西部イドリブ(Idlib)県ビンニシュ(Binnish)で化学兵器による攻撃が行われた件に関しては使用者の特定には至らなかったとしている。

 国連主導の共同調査メカニズム(JIM)は今年8月、シリア政府軍が2014年と2015年に化学兵器による攻撃を少なくとも計2回実施し、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」もマスタードガスを兵器として使用していたとする報告書を発表していた。

 JIMは化学兵器が使用されたとみられる計9回の攻撃について現在も調査を進めているが、このうち3回はシリア政府によるもので、1回はISによるものだったとの考えを今回の報告書で明らかにした。

 JIMは4回目となる報告で、クミナスでの攻撃は「シリア軍のヘリコプターが高所から投下した爆弾が地面に落ちて有害物質が放出され、地域住民が被害を受けた」ことを示す「十分な情報」があると結論付け、被害者の症状から、このときに使用されたのは塩素ガスだった可能性があるとしている。

 しかしカファルゼイタの場合は、シリア軍がたる爆弾を使って有害物質を投下した証拠は発見できなかったと述べ、「爆弾の残留物が除去されていたとみられる」と指摘した。

 また、ビンニシュでは「微量の塩素ガスが入っている容器」が発見されたものの、「化学兵器が使用されたことが特定されているいくつかの場所との関係」を見いだすことはできなかったという。調査を完了させるためJIMの活動期間は10月31日まで延長されている。(c)AFP