【10月21日 AFP】中国とフィリピンは21日、南シナ海(South China Sea)の領有権問題をめぐる2国間協議を再開するとの共同声明を発表した。オランダ・ハーグ(Hague)にある常設仲裁裁判所(PCA)が中国の領有権を否定する決定を下していたことから、協議の再開は中国の外交的勝利とみられている。

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は中国訪問中で、アジアの大国である中国からの経済的な支援を求めるドゥテルテ大統領は、長年の同盟国である米国との「決別」を表明していた。

 フィリピンと中国は共同声明で「南シナ海を挟んだ双方のいずれかにとって懸念される現状の問題やその他の問題について定期的に会合を開くという、2国間協議の仕組みは有益な可能性がある」と述べた。

 数年前に中止された両国間の協議の再開は、中国にとって喜ばしい動きだ。中国は、領有権問題については、多国間の協議ではなく当事者間で直接、協議する政策を長らくとっている。経済大国の中国にとって、当事者間の協議の方が影響力を行使しやすいと指摘する専門家もいる。

 今回の共同声明には、PCAの裁定への言及はなかった。PCAは今年、南シナ海の大半の海域に対する中国の領有権主張について、法的根拠がないと判断した。中国側はこの裁定の受け入れを強く拒否した。(c)AFP