【10月21日 AFP】米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)、元インディアナポリス・コルツ(Indianapolis Colts)のアントニオ・クロマティ(Antonio Cromartie)がチームを解雇された理由について、同選手の妻が国歌演奏の際に抗議を示す膝立ちをしたためと主張した。米スポーツ専門チャンネルESPNが20日、報じた。

 膝をついて抗議を示すジェスチャーは、サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)のQBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が試合前の米国歌「星条旗(The Star-Spangled Banner)」の演奏で、警官による暴挙が繰り返されていることに抗議して起立拒否したのが始まりだった。

 ESPNの報道によれば、クロマティ選手の妻テリッカ(Terricka Cromartie)さんはインスタグラム(Instagram)で、同選手に対するチームの姿勢は、こうした抗議行動を避けるためのものだったとする見解を示し、「おまえは一介のエンターテイナーにすぎない。とにかく黙って言う通りにしろ。私(チーム)のために働いているのなら、おまえには何の権利もない。自分の信条に従って闘う場所は、他にもある」と記したが、その後投稿は削除されている。

 テリッカさんはこれに加え、「私の夫は膝をつくなと言われながらも、自分の心に従ってそうした。そして、そのことで仕事を犠牲にした」とつづった。

 コルツのジム・アーセイ(Jim Irsay)オーナーは、米ヒューストン(Houston)で行われたNFLのオーナー会議で、抗議を示す膝立ちについて問われると、スタジアムはそのような行為をするには「場違いだ」と話し、「ポジティブなことではない。照明がついたら、われわれは全員エンターテイナーだ。お金をもらってショーを行っているのであって、自分を表現するための場所は他にある」と語った。

 一方、コルツのチャック・パガーノ(Chuck Pagano)ヘッドコーチ(HC)はクロマティの解雇について、パフォーマンスを基準に判断したと強調し、「ロスターに関するすべての決断は、二つのことに基づいている。それは、何がチームにとって最善であるかと、何が勝つための最高の可能性を与えてくれるかだ」と話した。

 クロマティは9月に続き、今月2日に英ロンドン(London)で行われたジャクソンビル・ジャガーズ(Jacksonville Jaguars)戦でも膝をついた。この試合の後半はベンチに下がったクロマティは、同じコーナーバック(CB)のデリアス・バトラー(Darius Butler)が故障から復帰した2日後に、チームを解雇された。(c)AFP