【10月21日 AFP】警官に対する暴力が相次いでいるフランスで、対策を求める警官たちの抗議デモが全土に拡大している。首都パリ(Paris)では20日夜、500人余りの警官がエッフェル塔(Eiffel Tower)近くで3夜目となるデモを実施。南部ニース(Nice)や東部リヨン(Lyon)といった地方都市でも、警察の体制補強や財源増加、警官襲撃に対する罰則強化などを求めて、私服や制服の警官らが抗議の声を上げた。

 問題は来年行われる大統領選の新たな争点となっており、政府は20日、警官らの怒りを抑えようと対応に乗り出した。マニュエル・バルス(Manuel Valls)首相は、警官らに向けて「私からの支持、連帯、理解、責任を期待していい」と述べ、冷静と秩序を守るよう呼び掛けた。

 パリでは19日にも数百人の私服警官がシャンゼリゼ(Champs Elysees)通りに集結。最後は凱旋(がいせん)門(Arc de Triomphe)前でフランス国歌「ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)」を歌うデモを行っている。

 仏風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)の本社襲撃事件以降、フランスは最高レベルの警戒態勢を敷いている。しかし、移民が多く暮らす都市郊外地域のパトロール中や、政府に対する抗議デモの最中に警官が襲撃を受ける事件が相次いでおり、警官らは怒りの声を上げている。今月8日にはパリ郊外で、警官(28)が火炎瓶を投げつけられて重度のやけどを負い、現在も意識不明の重体となっている。(c)AFP