【10月28日 AFP】香港(Hong Kong)の香港島南部、華富(Wah Fu)村近くの海岸沿いに、ちょっと変わった「リサイクルスポット」がある。そこでは数千体もの仏像や神像たちが海を見下ろしている。持ち主に見捨てられた像を回収し修復したものだ。

 海に面した岩の斜面に安置された色とりどりの像を献身的に世話しているのはウォン・ウィンポン(Wong Wing-pong)さん(85)だ。毎日2回、落ち葉を掃き、見捨てられた像たちに線香を手向ける。像は仏教や道教、キリスト教のものから香港の郷土神まで様々だ。

 かつて食肉店を営んでいたウォンさんは散歩に出かけ、偶然、華富村の近くに放置されていた多数の神仏像を見つけた。以来、17年間も神仏像の面倒を見続けている。

 当時、像の数は壊れたものを含めて12体ほどだったが、今や神像や仏像の捨て場所として有名になり「神と仏だらけ」になってしまった。

 ウォンさんによると新しい像は毎月のように持ち込まれる。持ち込むのは改装中のレストラン、家に像を置く余裕がなくなった人たちなど様々だ。持ち込まれた像をウォンさんはきれいに磨き、壊れていれば修復する。そんなウォンさんに住民たちも感謝している。やむを得ず手放した像を拝みに訪れる人たちもいる。

 神像や仏像の世話をしていると心の平安が得られるとウォンさんは言う。「前よりも健康になった。歩けなくなるまで、ここに来るよ。像がどの宗教のものであろうと、私は気にしない」(c)AFP/Dennis CHONG