【10月16日 AFP】欧州連合(EU)とカナダが締結を目指す包括的経済貿易協定(CETA)をめぐり、フランス、スペイン、ポーランドで15日、協定の調印に反対する大規模な抗議デモが行われた。

 今月27日に開催されるEU・カナダサミットでCETAの調印にこぎつけるには、18日のEU貿易相会合でEU加盟28か国すべての支持を得る必要がある。

 しかしCETAの調印はベルギー南部ワロン(Wallonia)地域の議会が14日、CETAの批准に反対する動議を可決したことで問題にぶつかった。

 使用言語ごとにいくつかの地域に分かれているベルギーの複雑な政治制度の下で連邦政府が正式に承認するには、まず地域議会など7つの議会が、協定に署名する権限を連邦政府に与えなければならないことになっている。

 ポール・マニェット(Paul Magnette)ワロン地域政府首相は地域議会の緊急会議で「私は連邦政府に権限を与えない。ベルギーは10月18日にCETAに署名しない」と述べた。「私は(CETAを)葬り去るつもりはない。再交渉の要求だと思ってほしい」

 ワロン地域議会での議決は、カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相の出席の下、今月ブリュッセル(Brussels)で予定されているCETAの調印を頓挫させる恐れがある。

 CETAは5年にわたる協議を経て2014年に交渉が妥結した。CETAは、デリケートな問題を抱えるいくつかの農産物を除き、EU・カナダ間の関税を事実上全廃する。カナダはEU側の要求を受け入れ、これまで基本的に自由貿易協定の対象外とされてきた自国の公共調達分野をEU各国の企業に開放することに同意した。

 推進派はCETAによって欧州・カナダ間の財とサービス分野の貿易は20%以上、EUの国内総生産(GDP)も120億ユーロ(約1兆3700億円)増加すると見込んでいる。

 その一方でCETAは、現在交渉中でCETAよりも異論が多いEU・米国間の自由貿易協定を推し進めるためのテストケースになる恐れがあるとして、さまざまな団体が反対している。(c)AFP