【10月14日 AFP】中国南西部・雲南(Yunnan)省で、野生のアジアゾウ2頭と子ゾウ1頭が貯水槽に落下して身動きが取れなくなり、ヘリコプターやショベルカーを使った救助活動の末、ほぼ2日ぶりに救出された。国営メディアが報じた。

 公開された写真には、コンクリート製の貯水槽にたまった泥水の中で、3頭のゾウが鼻を高く掲げ、必死に息をしている様子が写っている。貯水槽は幅数メートルと狭く、子ゾウは目のあたりまで泥水に漬かっていた。

 新華社(Xinhua)通信が森林管理当局の話として伝えたところによると、最初に子ゾウが落下し、助けようとした成獣2頭も続けて落ちたとみられる。すぐに仲間のゾウ10頭以上が貯水槽を取り囲み、鼻を使って3頭を引っ張り上げようしたが、何度も失敗するうちに興奮状態に陥ったという。

 10日に行われた救出活動では、まず爆竹とヘリコプターを使って仲間のゾウを追い払い、それからショベルカーで貯水槽の壁の片側の取り壊してゾウの逃げ道を作った。しかし、作業は大雨で難航。子ゾウはみるみる衰弱していき、「いつ泥水で窒息するか、極度の疲労で死んでしまうかと気をもんだ」と、現地のアジアゾウ繁殖保護センターの職員は新華社に語っている。

 国営紙・新京報(Beijing News)によれば、貯水槽の壁取り壊しには約30分を要し、作業の中で成獣1頭が片方の目を負傷したという。3頭のゾウは11日午後、ついに貯水槽から脱出しそのまま森の中へ去っていった。

 中国は国を挙げてアジアゾウの保護に取り組んでいるが、密猟により野生の個体数は約300頭にまで減少している。(c)AFP