【10月14日 AFP】2012年ロンドン五輪の陸上女子七種競技で金メダルに輝くなど、英国を代表する陸上選手のジェシカ・エニス・ヒル(Jessica Ennis Hill)が13日、現役引退を表明した。

 世界陸上(IAAF World Championships in Athletics)の現女王である30歳のエニス・ヒルは、インスタグラム(Instagram)に「これまでで最も厳しい決断の一つ」としたうえで、「私はいつも、レベルの高い状態で去りたいと言ってきました。悔いはありません。今が引退の時期だと分かっています」とつづった。

 英国陸上競技連盟(UKA)は、エニス・ヒルの記録について「驚異的」と述べるとともに、「出産から復帰して、世界陸上の金メダルと五輪の銀メダルを獲得するとは考えてもいなかったこと」と称賛している。

 2009年と2015年の世界陸上で女王の座を勝ち取り、リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得したあと、現役引退をほのめかしていたエニス・ヒルは、4年前のロンドン五輪で金メダルに輝き、英国陸上界にとって最高の瞬間をもたらした。この日はほかにも、男子1万メートルのモハメド・ファラー(Mohammed Farah)と、男子走り幅跳びのグレッグ・ラザフォード(Greg Rutherford)が英国勢として金メダルを獲得し、同国のスポーツ史上に残る伝説として「スーパー・サタデー」と呼ばれた。

 この偉業をたたえ、英国の郵便大手ロイヤル・メール(Royal Mail)で記念切手が発行された3選手は、リオ五輪でファラーがタイトル連覇を果たしたものの、エニス・ヒルが銀メダル、ラザフォードが銅メダルに終わり、2大会連続の快挙はならなかった。

 息子のレジー(Reggie)くんが生まれた2年後の今年、リオ五輪に出場したエニス・ヒルは、出産後に五輪連覇を果たす史上3人目の選手を目指していたが、ナフィサトウ・ティアム(Nafissatou Thiam、ベルギー)に35ポイント差で敗れ、タイトルを保持できなかった。

 エリス・ヒルは、「2009年のベルリン大会で世界陸上の初タイトルを手にしてから、2016年のリオ五輪までたくさんの素晴らしい思い出ばかりです。大好きな競技で素晴らしいキャリアを過ごせて本当に幸運でした」とこれまでを振り返り、最後は「長い間私を支え続けてくれて、夢を実現させてくれた家族と素晴らしいチームに感謝します。それから、何年も私を応援してついてきれくれた皆さんにも、たくさん感謝しています」と締めくくった。(c)AFP/Pirate IRWIN